【#あっさり読書】2017/09/17
図書館より借りた本。
鳥羽耕史『1950年代 「記録」の時代 (河出ブックス)』(河出書房新社, 2010.12)
・《keyword》:「記録」
・「敗戦後(占領初期)の混乱」から「高度経済成長期」に至る過渡期であり、これまで等閑視されてきた〈1950年代〉とはいかなる時代であったのか。新たな〈1950年代〉像を膨大な資料を駆使して提示する良著。
・「記録」でたどる〈1950年代〉:草の根“サークル詩”・雑誌『人民文学』における「記録」(「朝鮮戦争」「逆コース」という時代状況)、および戦前から続く「生活綴方」⇒戦時下のプロパガンダ映画の構図を“継承”した記録映画「岩波映画」⇒テレビ放送の開始、映画における「記録」
・「記録」の対象:「炭鉱」「基地」「ダム建設」。伊藤整の「チャタレイ事件」も。
・膨大な資料の量なので一読して理解するのは困難。再読の要アリ。
・個人的に興味深かったのは、北上川におけるダム建設の現場に、”国策”として女性作家が何人も招待されていたこと。まるで戦中の従軍作家にように。面子は芝木好子、吉屋信子、小山いと子、中里恒子、宇野千代など。*1吉屋信子なんかは戦中従軍作家として大陸の方に赴いていたよなぁ……?
*1:「第五章 「闘争」の記録/「記録」の闘争」p127
【#あっさり読書】2017/09/16
図書館で借りてきました。
・「思春期解剖学」と「精神医学へのささやかな抵抗」の二章に大別し、それをもとに著者の既出の論考(17本)を整理し収録。そのため、論に統一感が足りず多少「読みづらい」本であるなと。参考文献をたどってより専門的な図書を読むための案内書として読むべきなのかもしれない(「はじめに」必見)。
・本書を読むカギ(著者曰く「この現在を“病み抜ける”ための道標」)
私が求めるものは「承認」よりも「関係」であり、「コミュニケーション」よりも「ダイアローグ(対話)」である。*1
・「精神医学へのささやかな抵抗」は軽く目を通した程度。結構読み飛ばした。専門的な知見が多く、初読者には少し難解ではないかと思われる。
・若者の“生き辛さ”の実相を、著者の臨床体験を踏まえながら取り上げた「思春期解剖学」。〈コミュ力〉や〈キャラ〉の問題から秋葉原事件、震災デマまで。うーんもうすこし論点を絞るべきかも?〈キャラ〉をめぐる著者の問題提起はなかなか面白かったけど。
*1:「はじめに」p003